野次

いまでこそ、カープ女子なんていう集団から黄色い声援を受けるにいたる広島カープですが、セ・リーグのお荷物と蔑まれていたころ原爆ドームの前にあった市民球場の観客のほとんどは酔っ払いのおっさんかガキンチョでうら若き女性が行くようなところではありませんでした。とにかく毎年Bクラス暮らしが身についていましたから、「巨人の星」でカープの存在を抹殺されたことも気にもならず、東京から来た転校生がかぶってるGマーク帽子のなんと眩しかったこと!

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まあ、そんな球場で選手に放たれる野次もそりゃ辛辣なものばかりで、子ども心にも「こがいなことゆうてもええんやろうか」と思うものも多くあったのですが、その中でみんなをクスっと笑わせるようなウイットの効いたものは拍手喝采を受けていたものでした。その一つが負け試合濃厚になるときまって出てくる「広商に行ってもういっぺん野球を教わってこい」というもので、当時、「夏の広商、春の広陵」っていわれていたくらい、高校野球界における広島県勢の活躍は目を見張るものがあり、それに比較してカープは。。。という状況が理解できてこその「クスっ」であり、その後三村、達川なんていう広商出身者が黄金期を支えるようになったんですから、なおさらです。

このように野次が野次として機能するのは甲子園優勝チームとプロ野球万年最下位チームが対戦したら、もしかしたら高校生が勝つかもしれんと思わせるほど、弱いプロ野球球団の存在と負けるとわかってるのに通い詰めてしまうファンとの微妙な位置関係が内包されているからで、今回の東京都議会での野次は、市民球場で巨人軍の選手へ浴びせられていたその出自に関する心ない野次と同じレベルのものです。しかも身内同士でかばい合い発言者さえ特定できないというていたらく。小学生レベルというと小学生に失礼なので、あえて例えればイグアナレベルか。

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