雇用調整助成金の申請手続の更なる簡素化

雇用調整助成金の申請手続の更なる簡素化について

その計算方法が労働保険料の算定基礎となる「年間賃金総額」を使用するなど申請方法がわかりづらいとのことで、多くの問い合わせがありました。これについて、厚生労働省は、雇用調整助成金の申請手続を簡素化し、より申請しやすくするとともに、迅速な支給につなげると公表しました。
その概要は以下のとおりであり、詳細はあらためて公表するとのことです。

助成額の算定方法の簡略化

雇用調整助成金の助成額の算定方法が難しいとのご意見を踏まえ、以下の簡略化を図ることとします。

1.小規模の事業主(概ね従業員20人以下)については、「実際の休業手当額」を用いて、助成額を算定できるようにします。
※ 「実際に支払った休業手当額」×「助成率」=「助成額」とします。
2.小規模の事業主以外の事業主についても、助成額を算定する際に用いる「平均賃金額」の算定方法を大幅に簡素化します。
(1) 「労働保険確定保険料申告書」だけでなく、「源泉所得税」の納付書を用いて1人当たり平均賃金を算定できることとします。
※ 源泉所得税の納付書における俸給、給料等の「支給額」及び「人員」の数を活用し、1人当たり平均賃金(「支給額」÷「人員」)を算出します。
(2) 「所定労働日数」を休業実施前の任意の1か月をもとに算定できることとします。

【参考:現行の「平均賃金額」の算定方法】
平均賃金額 = A÷B÷C
A:労働保険料の算定基礎となる「年間賃金総額」
B:前年度における「月平均被保険者数」
C:前年度における「年間所定労働日数」(1人当たり)
※現行では、Aは、労働保険の確定保険料申告書における「保険料算定基礎額」、Bは、同申告書における「雇用保険被保険者数」を用いることとしています。

残る問題点

「源泉所得税」の納付書を用いる場合、役員報酬を除かなければなりませんが、そうすると役員名簿に報酬額の欄を追加し報酬額を記載、さらに源泉徴収票を添付するなどを求められるのであれば、簡素化にはとても繋がりません。そこは目を瞑って簡素化が進められても、助成金の最高日額8,330円が残る限り多くの正社員の休業手当日額は上限額以上であることが多い(8,330円×365÷7×40÷8÷12≒180,979)と思われます。
「年間賃金総額」との選択肢を残すのであれば、どちらを選択するかの判断材料が増えることとなり、申請様式等変更になる可能性があります。
使いやすい申請方法の発表を切望したいものです。

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