パートなど短時間労働者への厚生年金適用拡大

厚生年金適用拡大

政府は3日の閣議で、年金制度改正法案を決定しました。パートなど短時間労働者への厚生年金適用拡大に向け、加入義務がある企業の規模を、現行の従業員501人以上から2022年10月に101人以上、24年10月に51人以上へと段階的に引き下げることが中心となります。
「全世代型社会保障」を実現するため、女性や元気な高齢者に制度の担い手になることを目的としています。
企業規模要件見直しで、新たに65万人が厚生年金に加入されるとしています。しかし、保険料の半分は企業が負担するため、特に中小の経営への影響が懸念されるところです。

在職老齢年金制度

高齢者就労の拡大に向け、一定以上の収入があるシニアの厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」を22年度に見直すとされています。継続雇用として厚生年金に加入しながら働くと受給する厚生年金などが減額されるという現在の仕組みが就労意欲をそいでいるとの指摘を受けたもので、60~64歳の減額基準となる賃金と年金の合計額を月28万円超から月47万円超へ引き上げるとしています。
さらに、60~70歳の間で選べる受給開始時期を60~75歳に拡大し、繰り下げた期間に応じて月々の年金額を上乗せされます。また、厚生年金を受け取りながら働いて保険料も納め続ける65歳以上を対象に、高齢期の納付分を年金額に反映させるため、毎年定時に増額改定する仕組みも導入されます。

政府は今国会の重要法案と位置付け、会期内での成立を図る予定ですが、新型コロナウイルス感染対策や検察庁法の改正などの審議もあり先行きは不透明です。加えて少子高齢化が進む中で公的年金の給付水準は将来的に目減りし、野党は対策が不十分だとしてさらに追及していく構えを崩していません。後半国会の焦点の一つになることは間違いないでしょう。

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