雇用調整助成金の拡充 Revisited

令和2年度第2次補正予算案

自民党より「令和2年度第2次補正予算案」が提言されました。

「生活に困っている芸術家・アスリ ー ト等の支援」
現行の支援のみでは今後の活動が継続困難となっている現状や一定期間の習練等を要する文化芸術・スポーツの特性を十分に踏まえ、大きな打撃を受けている芸術家、アスリート、スタッフ及び団体等を救済し、活動の維持・継続と活動の再開・活性化を強力に推し進めるため、基金や地方創生臨時交付金の活用も含めて支援を行い、文化芸術・スポーツが確実に未来につながるよう振興を図ること。
という内容ですが、全く具体性に乏しく、イギリスの3月20日に出された予算規模3500億ポンド(約47兆円)の対策、雇用を維持する企業に2500ポンド(約34万円)を上限として、給与の最大80パーセントを助成というもの、フランスはもともと整備されていた舞台芸術・映画のフリーランス労働者でも失業手当を受給できる制度「アンテルミタン・デュ・スペクタクル」を拡充し、3月18日に2200万ユーロ(約26億円)の拠出を決定。特に充実しているのがドイツで3月23日には連邦政府が7500億ユーロ(約90兆円)規模の財政出動を決定、そのなかで、零細企業・自営業者(芸術や文化の領域も対象に含む)に対しては500億ユーロ(約6兆円)を拠出。加えて、個人の生活維持のために100億ユーロ(約1兆2000億円)を支援するものと比較するまでもなく、これでどんなに急いでも実際に困窮する芸術家・アスリートに救援の支給が届くのは、アベノマスク以後なんですから優先順位の付け方が違いますよね。

雇用調整助成金の拡充等

さて、注目の雇用調整助成金の再々再々拡充ですが、
雇用調整助成金については、4月23日、雇用問題調査会として厚生労働大臣に緊急提言を行い、同提言を受けて助成率の引上げや手続きの簡素化が行われてきたところであるが、なお大きく2点の課題が指摘されている。 第ーは、助成率だけでなく上限額も引き上げないと事業主の負担が重く、インセンティブとして不十分という点)第二は、申請に熱心でない事業主、休業手当を支払っていない事業主に雇用される労働者には支援が届かないという点、このため、以下の取組みを行うこと。

  1. 雇用調整助成金の上限額は現在 8,330 円となっている。 これについて、一般財源を投入することにより、標準的な賃金水準や諸外国の例も踏まえ、15,000 円(月額33万円)程度の水準とすること。
  2. 大企業であっても、雇用保険二事業を財源として、同水準の増額を実現すること。
  3. あくまで雇用調整助成金を活用し、雇用維持を図ることが原則であるが、企業の支払能力等を考慮し、中小企業が雇用調整助成金を活用できない場合であっても労働者が支援を受けることができるよう、一般財源も投入することにより、労働者に直接支援する仕組みを新たに設けること。給付率は休業前賃金の8割とするととともに、上限額は雇用調整助成金の月額水準とあわせ、月額33万円程度となるようにすること。
    また、雇用保険の被保険者以外についても、簡素な仕組みによって対象とすること。
  4.  3.の仕組みについては、労働者が容易に申請できるよう、事業主に休業の事実や賃金額等を求める等、早期に手元に届くよう、わかりやすく、簡素なものとすること。また、休業手当との重複が生じないようにするなど制度の趣旨に沿った給付が行われるようにすること。
  5. これらの対応は、緊急事態宣言が発出されて経済活動の自粛が行われ、経済活動が停止し、多くの労働者が休業を余儀なくされる等の例をみない厳しい状況に鑑みた特例的な措置であることから、明確に期間を定めて実施すること。
  6. さまざまな機関とも連携し、制度の周知徹底、丁寧な説明に努めるとともに、ハローワークにおいてスピード感をもって相談や支給が行えるよう、支援に必要な行政体制の整備に万全を期すこと。
    としています。412500円の給与を支給されていれば、全日休業で休業手当を8割支給すると全額が雇用調整助成金として受給できるということなのでしょうか。現在の制度では給料を払って(休業手当の支給実績を待って)それからの支給申請さらに実際の給付は1-2カ月後なわけですから、なんとか休業計画時に支給申請、実際の休業と乖離が生じたときは次回の支給額で調整などということができないものでしょうか。
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