埋葬料

加入者が亡くなったときは、埋葬を行う人に埋葬料または埋葬費が支給されます。

被保険者が業務外の事由により亡くなった場合、亡くなった被保険者により生計を維持されて、埋葬を行う方に「埋葬料」として5万円が支給されます。
埋葬料を受けられる方がいない場合は、実際に埋葬を行った方に、埋葬料(5万円)の範囲内で実際に埋葬に要した費用が「埋葬費」として支給されます。
また、被扶養者が亡くなったときは、被保険者に「家族埋葬料」として5万円が支給されます。

1.埋葬料
被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、被保険者の標準報酬月額に相当する金額(その金額が政令で定める金額に満たないときは、当該政令で定める金額)を支給する。(法第100条第1項)

2.埋葬に要した費用
上記1の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、同項の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。(法第100条第2項)

□自殺の場合は給付制限に該当するか?
自殺は故意に基づく事故ではあるが、死亡とは絶対的な事故であるとともにこの死亡に対する保険給付としての埋葬料は、被保険者であった者に生計を依存していた者に対して支給されるという性質のものであるから法第116条後段に該当しないものとして取り扱う。(昭和26年3月19日保文発第721号)

健康保険の死亡の給付では、業務上および通勤途上以外のものであれば、その死因は問われません。

□行方不明になった場合
被保険者が工場の旅行中船から転落行方不明となり、死体が発見されない場合には、死亡の事実は確実だが死体が発見されない場合と同様に、同行者の証明書等により死亡したものと認め、埋火葬許可証の写の添付なしに、埋葬料又は埋葬費(法第100条第2項)を支給して差し支えない。(昭和4年5月22日保理第1705号)

□その者により生計を維持していた者とは?
1.死亡当時その収入により生計を維持した者をいい、死亡者の収入により生計を維持した事実があれば足りる。民法上の親族又は遺族であることを要せず、かつ、被保険者が世帯主であることも、また被保険者により生計を維持する者が被保険者と同一世帯にあったか否かは関係のないことである。(昭和7年4月25日保規第129号)
2.被保険者により生計の全部若しくは大部分を維持した者のみに限らず、生計の一部分を維持した者をも含む。(昭和8年8月7日保発第502号)

被扶養者認定に要求されている生計維持関係とは異なります。
死亡者の収入により生計を維持していた事実関係があればよく、他人でも扶養を受けていれば受給権があり、親族でも生計依存関係がなければ受給できません。

□埋葬とは?
死体の一部又は遺物を埋葬又は火葬した場合でも支給する。(昭和2年6月疑義事項解釈)

□埋葬を行なう者とは?
1.埋葬の事実如何に関せず、埋葬を行なうべきものをいう。現実に埋葬を行なう又は行なった者ではない。(昭和2年7月14日保理第2788号)

2.埋葬許可証は埋葬を行なうべき者を証明するものではなく、埋火葬をなしてさしつかえない旨の証書である。この証書を受ける者と埋葬を行なう者又は埋葬を行ないたる者とは多くの場合一致するが、異なる場合もあり、従って、調査の上埋葬を行なうべき者又は埋葬を行ないたる者に支給することが必要である。(昭和3年4月20日保理第804号)

□埋葬を行なった者とは?
その被保険者に、全然生計を維持していなかった父母又は兄弟姉妹或は子等が現に埋葬を行なった場合には当然含まれる。(昭和26年6月28日保文発第2162号)
埋葬費(法第100条第2項)は、「埋葬を行なった者に対して」とあるので、実際に埋葬を行なった後でなければ申請することができない。

□埋葬に要した費用に相当する金額に含まれるもの
1.埋葬に直接要した実費額とする。これは、霊柩代又は借料、霊柩運搬人夫賃、葬式の際における死者霊前供物代、僧侶の謝礼等の如きものを指す。(昭和2年2月28日保理第765号)
2.入院患者が死亡し自宅まで移送する費用は含まない。(昭和2年4月18日発第925号

□退職後の給付(被保険者期間が継続して1年以上なくてもよい)
退職後、3か月以内、傷病手当金・出産手当金を受けている間、または受けなくなって3か月以内に死亡したときうけられる。

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