従来の人事評価の限界

評価の公平性を期すとして、詳細な能力基準や人事評価表の改定を重ね、立派な基準を作成したものの、「どうも納得いかない」「ちょっと違う」という声が会社からも社員からも絶えません。それを改善するために評価者訓練も実施し、勉強会も重ねたにもかかわらずうまくいかない、また管理職からは「もう紙はこりごり、紙はもういらない!」というクレーム。いったい今まで何をしてきたのか…。 これは「基準づくり」の迷路にはまってしまった典型です。

実は本当の納得性というものは、作られた評価基準からは得られないのです。これを避けるためには「価値観のぶつかり合いの場を意図的に設定する」しか手はありません。

人事制度、特に根幹となる人事評価制度を構築する場合、よく陥る勘違いがあります。それは、「人事評価制度構築=詳細な基準づくり」と思いこむことです。

①社員を活性化したい

②そのためには評価をしなければならない

③評価は公正にしなければならない

④そのためには基準が必要だ

⑤そのためにはモノサシとして詳細な評価要素や能力基準を設定する必要がある

この④まではいいのですが、ここから大抵の場合⑤へ短絡的に行ってしまいます。というよりもこれが常識かもしれません。社内の意見も、セミナーでも、書籍も、おしなべて同じことをいいます。ゆえに「これしかない」と信じて、一般的な職能要件書や人事評価表を作成する作業が始まります。 本来は④の次に、我社ではどのような評価制度を選択したらよいのかを検討するステップがなければいけないのですが、他にも選択肢があることに気づかないため、どうしても一般的な⑤の「詳細な基準」を作る方法をとることになります。確かに詳細な評価基準を作ることは悪いことではありませんが、これを納得できる制度として採用するには、実は適合する職務の条件があるのです。

適合する職務の条件 ①処理手順やゴールがほぼ決まっている定型的な仕事であること。 ②能力の差異や仕事の難易度を明確に文字で表現できること。 ③兼務や職務分担の偏りがなく、同じ仕事をしている人が多いこと。

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