深刻な人手不足の建設業

特に賃上げ傾向を牽引しているのは、深刻な人手不足の問題を抱える建設業です。人さえいればもっと売上を伸ばせるのにと言う声を頻繁に耳にします。
政府は4月4日、人手不足が深刻となっている建設業で、外国人労働者の受け入れを拡大する緊急措置を決めました。具体的には「外国人技能実習制度」において、これまで3年間だった技能実習期間の終了後も、さらに3年業務に従事することを可能にするというものです。しかし、当の建設業界からは、その効果を疑問視する声が上がっています。この数年来の建設業界の動きを見ると、建設会社各社は、人や設備を削減するなどリストラを進めてきたなかで、東日本大震災が発生して復興需要が急増。さらに安倍政権が、経済対策として公共工事を増やしたこともあり、さらに人手不足に拍車がかかったという現状があります。
その結果、厚生労働省がまとめた2月の建設業の有効求人倍率は3.04倍、土木業は2.72倍、建物の骨組みにあたる躯体造りを担う専門職の有効求人倍率は7.37倍、電気工事が1.97倍、建築・土木・測量の技術者も3.96倍と、あらゆる職種で人手不足の現状が窺い知れる結果に。
実際、建設業に今必要な人材は専門的な技能を持っている人であり、「外国人労働者が、5年くらいの実習期間で身につけられるとは、とうてい思えない」と懐疑的な声も聞かれます。また、人手不足に伴って建設現場にも高度な建設機械の導入が進んだものも、そのオペレーターがいないという悲劇的な現状も見逃せません。やはり、若者の夢のある職場としての「建設業」をどう築いていくか、が今こそ問われているのは間違いなさそうです。

例えば、平成21年には2,028時間まで下落した建設業の年間総労働時間ですが、全産業の1,733時間と比べるとまだまだ長時間労働となっています。また、年次有給休暇については、建設業における平成21年の付与日数については18.6日と全産業の17.9日を上回ったものの、取得日数は7.1日、取得率は38.1%と全産業の取得日数8.5日、取得率47.1%を下回っています。
ハローワークのWebサイトで埼玉県での求人を検索してみると建設業で土日完全週休2日を採用している会社の求人が28件ヒットしました。賃金額は17万円から52万円までとかなり幅はありますが、「建設業で完全週休2日制は無理」などと言っていては、人材獲得レースに既に乗り遅れてしまっていることは間違いなさそうです。

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