みなし失業手当
雇用を維持した企業に助成を行う「雇用調整助成金」の申請が伸びていない中、政府内には、勤務先が休業している人を失業状態にあるとみなして、雇用保険の失業給付を行う案が出ています。長期化する休業によって収入が不安定化し、今後の休業者の生活をどう支えていくのか。先行きが見えないなかで、給付金などの支援が素早く、幅広く本当に困っている人に届く仕組みとして浮上してきています。
加藤厚生労働大臣は、記者会見で「『みなし失業給付』は、災害時に休業しているところに適用される仕組みとしてこれまでもあった。雇用されている方の立場を踏まえて早急に具体化したい」と述べました。
以前にも厚労相は、「これまでもいろいろな措置をとってまいりましたけれども、さらに必要な措置があるのではないかという視点に立って議論を進めていきたい」と答えています。
失業給付の上限額の引き上げ
一方、これとは別に検討が進んでいる雇用調整助成金の上限額の引き上げに合わせた失業給付の上限額の引き上げについて、加藤大臣は「2つの上限額はもともと合わせることになっているが、雇用調整助成金を引き上げる理由をよく整理する必要があり、直ちに失業給付の水準がリンクするものではない」と述べ、慎重な姿勢を示しました。
通常、労働者が会社を離職したときには、事業主がハローワークに離職証明書を提出し、資格喪失を届け出た上で、労働者に離職票を交付されます。離職者はハローワークに離職票を提出し、受給資格の決定を受ける。その後、4週間に1回、失業の認定を受けた日数分の基本手当が支給されることとなります。
東日本震災の時にも「みなし失業」として採用された仕組みにおいても、離職票の代わりに休業票を提出するなど基本的には同じ流れで、失業手当の支給手続が行われていました。
雇用調整助成金の上限額8,330円を15,000円程度に引き上げる案がここで使われるとすると、またまた分かりづらい制度になりかねず、休業手当を支給された場合の「みなし失業」制度の仕組みは利用者に沿ったものになることが望まれます。
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