制裁規定の制限に触れないケース

就業規則で懲罰規定として、出勤停止の制裁規定を定め、その期間を無給扱いとした場合でも、労働基準法第91条の減給制裁の制限に抵触するのではという疑問が生じます。

これについては、減給の制裁規定には触れないという判断が明確になされています。すなわち、「就業規則に出勤停止の制裁規定があり、「その期間中は賃金を支払わない」との定めがある場合には、出勤停止期間中に賃金を受けられないことは(制裁としての)出勤停止の当然の結果であり、その出勤停止の期間が公序良俗に反しない限りは、同条の適用を受けない【昭23.7.3 基収2177号】」というものです。

ほかにも、次のような場合があります。

昇給停止、格下げによる賃金低下

就業規則に「懲戒処分を受けたものは昇給を行わない」等の欠格事項を定めてある場合や、降格処分の結果、将来の賃金が減額となる場合は、同条の規定に抵触しない【昭26.3.31 基収938号、昭26.3.14 基収518号】。

人事考課に基づく賞与額の減額

就業規則等で支給要件が明確に定められている場合、賞与も労働基準法で定める「賃金」となるため、減給処分の制裁に該当し、同条の制限が適用されるが、制裁の事由を加味した人事考課(評価)に基づき賞与額を決定することは、減給処分に該当しない。

というものの、先にあげた解釈例規の但し書きにあるように、過度の降格、減額処分は労働者の生活保障がされる範囲で行うべきなのはいうまでもないところです。

 

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