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Republican

米国中間選挙の結果、共和党が下院の過半数を確保、上院も過半数に達したようです。今後共和党が議会の主導権を握ることで、オバマ政権は一層苦しい立場に。フランク・ザッパ(以下センセ)がこの結果を聞いたらさぞかし落胆しただろうな。
センセの共和党嫌いはレーガン時代に決定的になったらしく、このアルバムは1988年の大統領選にむけてのコンサート・ツアー、選挙家人登録を呼びかけるための、そのツアーを記録したのがこのアルバム”Broadway the Hard Way”でした。共和党の悪業を暴く「ディッキーズ・サッチ・アン・アスホール」「ホエン・ザ・ライズ・ソー・ビッグ」「プラネット・オブ・ザ・バリトン・ウィメン」「エニィ・カインド・オブ・ペイン」「ジーザス・シンクス・ユーアー・ア・ジャーク」の5曲は「レパブリカン・レトロスペクティヴ・メロディー」とよばれていました。といっても中身は実に聞きやすく、頭でっかちでもなく、過激でもなく、実に音楽的に、ある意味優雅に敵を罵倒してるんですよね。
ところで、アルバムの冒頭を飾るのが「エルヴィス・ハズ・ジャスト・レフト・ザ・ビルディング」、当時は共和党支持者の偶像としてのエルヴィス?なんて勘ぐってましたが、Elvis has left the building.とはエルヴィスのコンサートで、アンコールを期待していつまでたっても居残る観客に帰宅を促すためのアナウンスだそう。Wikipediaによると1956年12月15日、シュリーブポート、ルイジアナ州でのコンサート、プロモーターのホレスリー・ローガンによって使用されたのが始まりのようで、確かにマディソン・スクエアー・ガーデンのエンディングでも言ってる言ってる、勉強になりまっす。

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いつになく穏やかな表情をされるセンセ

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象の影絵が!

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大統領執務室

3人娘

アリーサ・フランクリンとバーブラ・ストライサンドが1942年、ベット・ミドラー1945年っていうから、ほぼ戦前生まれってことになるんでしょうか、女性に年齢は失礼だけど70歳になってこのバイタリティ、凄いなぁ、ここに来て御三方が新作をリリース、どれも素晴らしい出来です。アリーサとバーブラはそれなりにご活躍でしたが、ベットは8年ぶりの新作!それもガールズ・グループの有名曲をカバー、最初針をおとしたとき、もとい、プレイボタン押したとき、かけ間違えたと思いましたぜ、フィレス・アルバム・コレクションと!ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」〜シフォンズのゴフィン=キング作「ワン・ファイン・デイ」で始まって、シュープリームズの「恋はあせらず」、シュレルズの「ウィル・ユー・スティル・ラヴ・ミー・トゥモロウ」と60年代アメリカン・ガールズ・ポップスど真ん中突っ走ると思わせて、TLCの「ウォーターフォールズ」というフェイント、さらにクリスタルズの「愛しているんだもの」でご本家のダーレン・ラヴも引っ張り出すという、ジャケットもひとりガールズ・グループを演じていて、こういうのがやりたかったんだろうな、満足しただろうな、でも、これでおしまいじゃなくて第二弾もお願いしまっせ!ローズ!

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バーブラは今はやりのデュエットアルバムなんですが、なんとエルヴィスと「ラヴ・ミー・テンダー」を、彼女だから許可が下りたんだろうなぁ、ただただ涙、涙。「ニューヨークの想い」 with ビリー・ジョエルなんてのも、NY生まれのユダヤ系二人ならではの味わい。

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ごめん、一番期待してなかったのが、姉御の新作、タイトルが”Aretha Franklin Sings The Great Diva Classics”なんだから気付よってはなしですが。1曲目のエッタ・ジェイムスから飛ばしまくります。5曲目がバーブラ・ストライサンド「ピープル」で、上のバーブラの新作でもセルフ・カバーしていて、そこでのお相手はスティーヴィー・ワンダー。グラディス・ナイト「夜汽車よジョージアへ」、グロリア・ゲイナーのディスコ・クラシック「アイ・ウィル・サヴァイヴ」には、デスティニーズ・チャイルドの「サヴァイヴァー」がマッシュアップされ、アリシア・キーズ「ノーワン」ときて、シュープリームスの「ユー・キープ・ミー・ハンギン・オン」からプリンスになだれ込み。先行シングルとなるアデルの「ローリング・イン・ザ・ディープ」では曲の後半で「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」のゴスペル大会で大団円。

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3枚ともアナログで欲しいなぁ(正面のアナログ盤と本文には関係はありません)。

地下室

いよいよ、「ザ・ベースメント・デープス」の全貌が白日の下に晒される日が近づいてきました。150テイク以上が残されたというそのセッションですが、新たなテープの存在が発見されてのコンプリート・エディションが138曲なのでこれが正式記録になるのでしょうか、CD6枚組、これは聞き応えのあるブツになりそうです。
1975年に「地下室」として発売、やっと”Great White Wonder”の存在を知った程度の田舎の高校生にとっては、「突然」としかいえないリリースでしたが、当時のブルース・ブームもあって、SP盤起こしかとまがうばかりの音質もかえってオブスキュアな雰囲気を醸しだして、これがディランとザ・バンドたちが日夜ウッドストックで練り上げていた、あの「幻の」音源かぁと、恐れ入ったものでした。Tears of RageからQuinn the Eskimo、Open the Door Homer、Nothing Was Deliveredと続くCD4が山場になりそうですが、Blowin’ in the Windのブルース・ロック・バージョンが聞けるCD5も期待大です。One Too Many Morningsなんて時代は変わるみたいだし。

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ここから「地下室」には1曲も取り上げられていない「アンソロジー・オブ・アメリカン・フォーク・ミュージック」

私の持ってるブートレグはただのアセテート盤起こしみたいなもので、音圧は低いし、ノイズリダクションかけ過ぎてベールの向こうで鳴ってるような代物なので、ディランに怒られながらも実際にテープを回していたガースが今回のリイシューの監修を担当、ホーム・テレコで録音されていたといっても、実はちゃんと卓を通していたというブートレグ・シリーズ第11集、かなりの音質改善が期待されます。

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時代は「サージェント」と「ゼア・サタニック・マジェスティーズ」のころ、ディランとザ・バンドがこれでルーツを掘り下げ、このあと出してきたのが「ジョン・ウェズリー・ハーディング」と「ビック・ピンク」ですから、「ベースメント・デープス」がベースメントでなく、表舞台で正式に発表されていたらその後のロック・シーンは大きく違っていたと。やっぱりロックは聞くべき時期と歳があるのですね。

Creme and Godley

ミッキー・ジャップといえば英国パブロックの基礎を築いたレジョンドのメンバーとして有名です。70年代後半にはソロアルバムをリリース、ファースト・アルバムであるJuppaneseはロックパイルがバックアップ、プロデューサーはニック・ロウ、そしてこのセカンドアルバムはあのゴドレイ&クレームを迎え1979年にリリースされました。
当時、ミュージック・マガジンの輸入盤紹介でレヴユーされていたのを、何とか手に入れて、ゴドレイ&クレームが手に掛けたからにはと期待したのですが、まあ、彼ら自身のアルバムほどぶっ飛んでるわけもなく、ちょっとがっかりした覚えもあるのですが、そんなわけで、その後CD化されても特に手を出すこともなく静観していたのが最近になってAmasonでリイシューされているのを発見、早速注文してみました。

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1979年といえばゴドレイ&クレーム自身はL以降、Music From Consequencesしか出していない年ですから、経済的に苦しかったのかもしれませんね。

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表題のCreme and Godleyはアルバムのクレジット、produced by Lol Creme and Kevin Godleyから。彼ら自身のアルバムはGodley & Cremeで出しているのですから、他人のプロデュースをしたアルバムクレジットを逆にしているのには意味があるとするのは穿ちすぎでしょうか。

 

フィルモア三態

いささか旧聞に属するのですが、オールマン・ブラザーズ・バンド「1971 フィルモア・イースト・レコーディングス」、まさかの蔵出しアウト・テイクス集が!幻のホーン・セクション付き!96kHz/24bitハイレゾ!

アナログ→CD→Blu-rayと聞き継いで、デュアン・オールマンも今ではデュエイン・オールマンですからしてw、その月日の中で「エリザベス・リードの追憶」におけるジョン・コルトレーンからの影響なんていう新事実も明らかになったわけですが、まさかすべてのセットリストを時系列で聞ける日が来るとは!

結局、ホーン・セクション付きのテイクもプロデューサであったトム・ダウトの見識の高さを証明する素材の一つに過ぎなかった、これはアリーサ・フランクリンのフィルモア(こっちはウエスト)でも明らかになったことですが、当事者であるミュージシャンを凌駕する審美眼を持って初めて「プロデューサ」なのだな、と。

ライナーによると、トム・ダウトはホーン・セクションを聞いて”nearly wet my pants!”になったらしく、しまいには”Get the fucking horns out of my life”とも宣っておられます。

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実は、メイコンのキャプリコーン本社前で撮影されていたジャケット写真

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Disraeli Gears

このへんてこなタイトルを付されたアルバムが世に出たのが1967年。ジンジャー·ベイカーとローディーのミック·ターナーが話の中で、自転車の変速ギア=ディレーラー・ギアのことをイギリスの産業革命時の首相、政治家ベンジャミン・ディズラエリ Benjamin Disraeli の名前と言い間違えたことが発端だったらしい。

クリームってアルバム単位ではコレっていう決定打がないんですよねぇ。このセカンドアルバムもSunshine of Your Love、Tales of Brave Ulyssesというヒット曲があるものの繰り返して聞いたという記憶はないなぁ。

で、メンバーの一人、ジャック・ブルースが10月25日亡くなったそうです。享年71歳。
訃報を伝えるローリング・ストーン誌のWebサイトは、ロジャー·ウォーターズの言葉として「ジャック・ブルースはかつてない、おそらく最も音楽的才能のあるベーシストであった。」と結んでいます。

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大森靖子

ミュージックマガジンが洋楽回帰と謳いながら、今年に入っても特集は銀杏BOYS、THE BAWDIES、宇多田ヒカル、星野源、でんぱ組.inc。洋楽はワールドカップでブラジル音楽、先月号のドクター・ジョンとニュー・オーリンズくらい、広告もメッキリ減ったし、部数増やすためにはJ-POPなんだろうなぁ、いよいよマガジンも「暮らしの手帖」路線か、と思ってたら、日本のアーティストで久々のガツンと来る特集、巻頭インタビュー、やっぱ旬の素材だわな。

インタビューやYoutubeなんかの発言・行動を見てると、彼女のIQの高さを感じさせます。江戸アケミと町田康(町蔵)に出会った時と同じくらいの衝撃で創造することは身を削ることと同意義であることを思い知らされました。放たれる言葉が痛い、「いつ死んでもいいと思っていた」、この人はこのまま生きていけるのだろうかと心配してしまうのですが、TVでのトークで27クラブのことにチラッと触れていて、やっぱり意識していたんだろうな。でも、ナルシスティックというふうでもなさそうで、もう一人の自分を傍観している自己をちゃんと持ってるところはザッパ先生のようでもあります。何をやってもツゥーマッチにならないところ、ああ、この人を超えることは出来ないとだれもが思うんじゃないかな、天才が歌ってミーハーが聞くとき大衆音楽は美しい。

私のiTunesを見てみると9枚のアルバムとカーネーションのトリビュート、ぱいぱいでか美、No Lie-Sense、三輪二郎を揃えてるからまあまあかな。でも本秀康さんのところから出ていた「君と映画」アナログ盤はノーチェックでした。

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You Can’t Judge a Book by the Cover

と歌ったのはハウリン・ウルフでしたが、ブルースのレコード・カバーを集めた本がブルース&ソウル・レコーズより発売されました。

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レコードなんてなかなか買えなかったころ、レコードのジャケットを並べた写真集を眺めては、名前は知っていても見たこともないようなオブスキュアなブツ、まだ見ぬ憧れのアーティストたち、ジャケットの厚紙に挟まれた内袋に潜む黒い塩化ビニルの円盤に刻まれた音を夢想して悶々としていたものでした。

この本にも紹介されていますが、オーティス・ラッシュのコブラ録音をまとめた英国ブルー・ホライズン盤は買いそびれてしまったことで忘れられない一枚です。”This One’s A Good ‘Un”という1969年にまとめられたアルバムですが、私が高校生の頃にはすでにレア盤でしたから、初来日を記念してエピックSONYからリイシューされた時に即購入しとけばよいものを、原盤の複雑な権利関係なんか当時知る術もなく、ぼーっとしてる間に廃盤の憂き目に。

その後、P-Vineからもっとキッチリしたカタチで、シングルで発売されたテイクとオルタネイトテイクとを分けて再発され、積年の苦悩からは解放されたのですが、未だにこのジャケットを見ると青春の一時の過ちが甦ってくるのでした。

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数学、物理学とFab Four

ビートルズが使った楽器と機材をまとめた本。写真多数。

表紙を飾るのはジョージ愛用の1963年リッケンバッカー360-12。で、もう一枚の写真がそのバッタもん、グレコ1980年モデル。

あの有名なA Hard Day’s Nightのイントロじゃーんは、この12弦ギターで奏でられたのですね。そのコードには諸説あってGsus4とか、とにかく2人のギタリストと1人のベーシストがダビングなしで作れる音ではないらしい。そこは、ディープなFabFourの世界。英国のダルハウジー大学ジェイソン・ブラウン教授が、半年という時間と、高度な数理解析技術をもって、ついに解明、その結果は。PDFファイルが開きます。
どうやらジョージ・マーティンのピアノにその秘密があったらしいです。

教授は最後にこうまとめられています。We see that sometimes mathematics can unravel the best mysteries.

橋本愛ちゃん演じる難波くるみみたいっすね。

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Take2

ビックス・バイダーベック

サッチモが最初ののピークを迎えた頃、シカゴでサッチモたちとは一線を画した「白人のジャズ」を確立させたのがビックス・バイダーベックでした。
彼の音楽をノスタルジックなレガシーととらえる向きがありますが、村上春樹はビックス・バイダーベックのことを『ポートレイト・イン・ジャズ』で「ビックスの音楽の素晴らしさは、同時代性にあ」り、「懐古趣味とは無縁なものだ。」と言っています。
盤おこしのスクラッチ・ノイズの向こうから聞こえてくる彼のコルネットには、マイルス・デイビスにも直結していくクール・スタイルの芽生えを感じます。
ロックファンにもビックスの名前を思い出させたのはライ・クーダーで、1978年のアルバム「Jazz」のB面の冒頭3曲がビックスの曲でした。ここでは、フランキー・トランバウアーのCメロディー・サックスの音色をうまくクラリネットとアルト・サックスで置き換えています。ただし、彼はこのアルバムを失敗作としているようですが。
さらにビックス・バイダーベックのクールネスを現代に再現して見せたのがジェフ・マルダーでした。マリア・マルダーのかつてのパートナーとして、ポール・バターフィールドとのベター・デイズでの活躍、さらにはエイモス・ギャレットとのコラボでも有名ですが、この「個人的天文学」というアルバムではニューヨークのジャズとクラシック演奏家とともにビックス・バイダーベックを現代に蘇らせることに成功しています。

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